荒井さんが七ヶ宿町を選んだ理由…

荒井譲さん:「七ヶ宿でワインブドウ栽培は誰もやったことがない未開の地。しかし、ここは標高が高く寒暖差があって糖度も上るが酸味の落ちが緩やか、しっかり酸が残る」

ブドウの熟成具合をきめ細かくデータ化して栽培している

荒井さんがこう話す背景には、ブドウ栽培が抱えるの2つの課題があります。

■ブドウの色づきの悪さ
ブドウの色づきはアントシアニンが生成される時期に左右されます。アントシアニンはブドウの果皮を黒くする色素で高温では合成が阻害されます。寒暖差が重要となるブドウ栽培ですが、近年は夜まで気温が高い状態が続く地域があり、色づきが悪いブドウができて、農家の悩みの種となっているといいます。

■酸の低下
もう一つ、気温が上昇すると「糖度」が上がるものの「酸」が減ると荒井さんは話します。食用のブドウなら良いものの、ワイン用のブドウは「酸」が少ないと、ワインがメリハリのない味わいになってしまうのです。

七ヶ宿の土地の特徴を知り、気候変動を見越して農園を開いた荒井さん。去年もそれほど大きな影響は受けなかったと話します。

ワイン用ブドウには「酸」が欠かせない

ブドウ農家に対策はあるのか

荒井さんは「ブドウはその土地の気候や土壌などが特徴としてあらわれるためハウス栽培などは適さない」と指摘。「早期に収穫するなどの対応はできるものの現在の気候変動への根本的な対策をたてることは難しいのではないか」と話します。

東北大研究チームの今後の研究は…

研究チームは今後、ブドウの品種・収量・品質のデータを分析対象にして,将来の収量や品質の予測を目指す方針です。また、気候変動に伴う災害変化の観点も考慮した推定にも取り組みたいと話しています。

※出典:Hiraga, Y., & Matsumoto, T. (2025). Viticulture suitability estimates under climate change in Japan. Theoretical and Applied Climatology, 156(12), 671.