「売り手市場」が続くなか、行政サービスを行う県庁にも人材が集まりにくくなっています。宮城県は、合格時期が早い早期枠という採用試験を導入すると共に、「オフィス改革」を進め人材確保に本腰を入れています。

大友惇之介記者:
「これまでの執務室は、白を基調とした場所でしたが、今回こちらの部署では、人材確保のため黒を基調としたすっきりとしたオフィスに改革が行われています」

オフィス改革担当 宮城県土木総務課 片岡茉莉主事:
「例えば、こちらの柱は、職員自ら養生して塗装したものになります」
公共工事などを担当する宮城県の土木部です。この部署では、床のカーペットも張り替え、執務室を黒と黄色を基調としたオフィスに一新しました。

ソファを置いたこちらのスペースは、個別の業務や打ち合わせを行うことができます。これまでの執務室と比べ広々とした空間をつくり、民間のオフィスのような雰囲気になっています。職員は…

オフィス改革担当 県土木総務課 片岡茉莉主事:
「モチベーションが上がりましたね」

オフィス改革の背景にあるのが、人手不足。特に技術職員は、民間との競争も激しく2024年度の県の採用試験では、「総合土木」の30人の募集に対し、29人の申し込みがありましたが、最終的な合格者は7人でした。こうしたなか…

県土木総務課 高橋芳和課長:
「なかなか採用の確保が厳しいので、初めて早期枠という試験の枠を設けてみました」

県が、2025年度の採用試験から導入するのが「早期枠」です。大学卒業程度の人を対象に「総合土木」と「森林」の2つの技術職で実施します。

従来の試験は、通常6月から始まり、8月の内定でした。これに対し、早期枠は、3月中旬から開始し、6月には内定を出します。
県土木総務課 高橋芳和課長:
「公務員に興味があるけれど、試験が難しいと思っていた方も受けやすくなっていると思うので受けてもらえれば」

県の「早期枠」は、3月21日まで申し込みを受け付けていて、6月に始まる予定の従来の採用試験と併願できるということです。
県の「総合土木」の採用人数は、ここ10年で大きく減っています。東日本大震災の翌年2012年度は、復興需要もあり222人が申し込み、合格者は46人でした。まさに買い手市場です。

しかし、ここ数年は、合格者が10人前後となっています。一次試験で合格してもその後、二次試験を辞退するケースも多いということです。
県が新設した早期枠では民間企業でも採用している適正検査「SPI」を導入するなど試験の方法も変えています。各業界で人材確保にむけた施行錯誤が続いています。