東日本大震災について振り返る講演会がこの週末、宮城県気仙沼市で開かれました。発災当時、気仙沼警察署の署長だった男性が、当時の避難誘導について語りました。

気仙沼警察署・元署長 佐藤宏樹さん:
「当時の気仙沼警察署員から2人の殉職者を出してしまった。指揮官としてこの2人に対して償うべき責任があり、体験を後世に語る責任があると感じている」

気仙沼市の震災遺構・伝承館で、15日開かれた講演会には、地域の語り部や若手警察官などおよそ100人が参加しました。震災当時、気仙沼警察署で署長を務めていた佐藤宏樹さんが、発災直後の緊迫した現場対応を振り返りました。

気仙沼警察署・元署長 佐藤宏樹さん:
「パトカーなどありったけの公用車両に乗せて住民を避難誘導するよう指示して出動させました。誘導活動中、ふと後方を確認したところ、真っ黒い壁のような津波がものすごい速度で追いかけてきているのが見えて肝をつぶした記憶がある」

14年前の震災で気仙沼市では、1434人が死亡、行方不明となりました。気仙沼警察署でも警察官2人が殉職しました。

気仙沼警察署・元署長 佐藤宏樹さん:
「なぜもっと多くの市民の皆様を救うことができなかったのか。限られた警察力であっても一人でも多くの方々を救う手立てはなかったのか。いまだに心を揺さぶり続けている」


講演を聞いた人:
「(警察官も)同じ人間ですから命を大切にしていただければ」
気仙沼警察署の若手警察官:
「津波がすぐに到達したということで警察としてどのように行動しなければいけないのか強く考えさせられた」

講演会を企画した、階上地域まちづくり振興協議会では、次回は今年秋の開催を目指し準備していくということです。