今では仙台で唯一の屋台「大分軒」を約60年に渡って、守り続けている91歳の男性がいます。その男性が、13日に出身地の大分県人会から長年の労をねぎらって表彰されました。
仙台市宮城野区の内田菊治さん(91)。自宅で出身地の大分県人会から感謝状を受け取りました。

内田菊治さん:
「こんなのは初めて。嬉しい、でも俺はこんなことになっていいのかな」

内田さんは、仙台市の青葉通で営業する支那そばが自慢の屋台「大分軒」の店主です。昭和の風情を残し、温かな雰囲気の店は、多くの人に愛されてきました。内田さんが営業を始めた翌年の1965年に、県や市が食品衛生や道路管理の観点から仙台での屋台は「一代限り」という取り決めをした影響で、屋台は年々減り、10年ほど前に大分軒が最後の一軒となりました。

内田菊治さん:
「今の屋台は、60年のうちに4台作り替えた。今使ってるのは、37年になる」

内田さんは、大分県内の水産高校の職員だった時に立ち寄った仙台に魅力を感じ30歳の時に移住、そして、屋台を始めました。以来、妻のタイ子さんと2人で屋台を切り盛りしてきました。

内田タイ子さん:
「本当にうれしい、涙が出た。うちのお父さん頑張ったんだな60年間」

ここまで続けられたのは、皿洗いや会計などで屋台を支えてきたタイ子さんのおかげだと、内田さんは感謝しています。

内田菊治さん:
「きれいごとを言えば、宝だろうね。この人いなかったら生きていけないもの」
のれんを守り続けて60年あまり、今後も気力と体力が持つ限り、タイ子さんと2人で屋台を続けていきたいと内田さんは話します。

内田菊治さん:
「(Q:仕事は楽しいですか)楽しい。元気で生きてやれたらいいな。元気が一番」

大分軒は、雨や雪の日を避けて週に2日程度程度、営業しています。今年最初の営業は、3月5日を目指し、準備を進めているということです。