「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性の遺産、およそ13億円を寄付するとした遺言書をめぐる裁判。一審に続いて「有効」の判決です。

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さんは、貸金業や酒の卸売業などで財をなし、自宅にはいつも多額の現金や貴金属が置かれていました。

野崎幸助さん(2016年の取材)
「(Q.この時計はいくらぐらい?)『450万円』。私はいつも7億円ぐらい自分の家に置いている」

ところが…

「いごん 個人の全財産を田辺市にキフする 野崎幸助」

野崎さんが7年前に急性覚醒剤中毒で死亡したあと、遺産およそ13億円を田辺市に寄付すると、赤いペンで手書きした遺言書が見つかり、野崎さんの親族は5年前、遺言書の有効性をめぐって訴えを起こしました。

親族側は「筆跡は不自然なうえ、田辺市に寄付する合理的な動機が見当たらない」と遺言書の『無効』を主張しましたが、一審の和歌山地裁は去年6月の判決で「野崎さん固有の筆跡や癖が認められることから不合理な点は見当たらない」として、「有効」と判断しました。

親族側は「遺言書は偽造の可能性がある」などと主張し、控訴していましたが、きょうの判決で、大阪高裁は「野崎さんが書いた別の書状の文字が遺言書の文字に酷似する事実があるとしても、偽造であることが推認されるものとは言えない」として、一審に続いて遺言書は「有効」と判断しました。

野崎さんの死亡をめぐっては、妻だった29歳の女性が殺人などの罪で起訴されましたが、和歌山地裁が去年12月に無罪判決を言い渡し、検察側が控訴しています。