宮城県大衡村に半導体製造工場の建設事業を共同で進めていた台湾の半導体大手PSMCと日本の金融大手SBIホールディングスが提携を解消しました。今回の提携解消について専門家は、建設業から観光業まで幅広い分野に影響を及ぼす恐れがあると指摘しています。

七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「地元経済界に与える企業心理、経済の心理に与える影響は大きい。それ(誘致)ありきで進んでいたものが突然消えてしまい、企業や地域経済担当者の衝撃、落ち込み、心理的ショックは大きい」
七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友さんは、今回の提携解消について幅広い分野に影響を及ぼすと指摘します。
七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「これから工場を建設する建設業、そこと取り引きをしようとしていたメーカー、働く人の住宅需要を準備しようとしていた不動産業、あとは台湾で働く人が多いということで、それを契機としたインバウンドを期待した観光業。とにかく期待の産業だけにすそ野がとても広いということで影響の範囲も広い」
突然とも言える提携解消については…。
七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「もともと半導体業界はグローバル競争が激しく、業績の振れが大きいということがあり、設備投資が難しくなる。業績の悪化もよく起こる。今回のように突如色々なことが、変更になることもよく起こる。グローバル経済の競争の激しさを象徴するような出来事だった」

さらに、田口さんが危惧することが…。
七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「今年度はナノテラスの稼働、東北大の国際卓越大学の認定だったり、PSMCの工場建設、事業開始があって、言ってみればシリコンバレー構想を実現するための3本の矢が揃ったということが非常に期待されたが、そのうちの矢の1本が無くなってしまった。非常にこれにブレーキがかかる」
田口さんは、半導体に限定せず新たな提携先を早急に見つけることが地域経済へのショックを抑える一手だと話します。
七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「遅れれば遅れるほど地域経済の停滞感が強まるということがいえる。PSMCに匹敵するような大型の誘致を成功させるのがひとつの方法。データセンターやAIの分野などほかの分野の誘致をするのも手。とにかくスピード感をもって次の誘致を実現するというのが大事」
懸念を示す一方で田口さんは、「本格的な事業に着手する前だったため実体経済面への影響は限定的」と分析していて、新たな企業誘致に期待したいと説明していました。