静岡県内一のミニトマトの産地・伊豆の国市。生産を支えているのは転職などを経て、新たに農業に就いた「ニューファーマー」です。
<母>
「あと1個。頑張れ」
<娘>
「(笑)」
<農家の声>
「まだいいって。こぼれるまで頑張れ」
<母>
「お〜すごい」
先週、静岡県伊豆の国市で開かれたトマトマルシェ。中でも人気だったのは、300円で、規格外のトマトをトレイに乗る分だけ買うことができる詰め放題です。
<女の子>
「重い」
マルシェを企画したのは、異色の経歴を持つ生産者たちです。
<生産者 井上俊夫さん>
「私は商社マンでした」
<生産者 高橋純哉さん>
「以前はシステムエンジニアをやっていました」
伊豆の国市のミニトマト生産を支える「果菜委員会」。所属する55人の生産者、全員が新たに農業に就いた「ニューファーマー」です。
生産者の一人、久保田尚徳さん(42)。以前は予備校の講師などをして、教育業界に身を置いていた久保田さん。30歳の時に伊豆の国市に移住し、農業の道に進みました。
<久保田尚徳さん>
「農学部なので大学の同級生は日本各地の農家のせがれがけっこういたんですよ。みんな輝いて農業をやっているんですね」
伊豆の国市周辺のJAが新規就農支援に乗り出したのは1990年代。後継者不足という深刻な問題を乗り切り、今や静岡県内一のミニトマトの産地になりました。
<久保田尚徳さん>
「トマトって急激な変化に弱いので、いま見るとだんだん萎れてきています。こういう時は、遮光と言って、カーテンを閉めて、直射日光を遮るようにするんですけど、このシステムでスマホを使って」
「いまこれで押して日よけがこれからできるようになるんですけど」
ハウス内の温度や湿度を測定して、その数値をもとに、環境をコントロールすることもできます。また、スマホのアプリで栽培に関する知識も共有する仕組みもつくりました。
<杉村直美カメラマン>
「誰がやってみようと言ったんですか?」
<久保田尚徳さん>
「私たちの仲間の中で、こういうシステムに詳しい人がいて、その人にいろいろ教えてもらいながら導入して」
成長の背景には、転職してきた人ならではの人脈とアイデアが活かされていました。
<久保田尚徳さん>
「私たち仲間はみんな自分の得意分野を出し合って、共に高めあっていこうと。そういう人が非常に多いです。だから気が付いてみたら、県内トップシェアになったんだなと思います」
静岡県内一のミニトマトの産地を支えるニューファーマー。「トマトといえば伊豆の国といわれるまではゆっくりしている暇はない」と妥協はありません。
5月4日放送