「1年で教員は辞めて、釜石に学びに行きました」
わずか1年で教員を辞めた。
こう語ったのは、静岡県内の小学校で教壇に立つ中川優芽さん(28)だ。きっかけになったのは、子どもからのある質問に答えられなかったことだった。
「逃げる必要あるの?」答えられなかった子どもからの問い

「子供から『なんで新しい校舎なのに、運動場に逃げる必要があるの?』と聞かれた時に、答えられずにいました」
初任校で行われた避難訓練。校舎は前年度に完成したばかりだった。地震が起こった時、最新の耐震性を備えた建物から外に逃げなければならない理由―適切な答えが、出てこなかった。
「自分は、何を学んできたんだろう」。勉強不足を痛感した。
2018年、中川さんがふるさと・静岡の教壇を下り向かった先は、岩手県釜石市だった。そこで探したのは子どもの命を守るための「答え」だった。