生活や仕事の足として多くの人が利用する50cc以下のいわゆる「原付」が2025年10月、国内すべてのメーカーで生産を終えます。メーカーからは制度の変更に合わせた新基準の原付バイクも発表されるなど、業界は転換期を迎えています。
午前1時頃、浜松市の「アカマ新聞店」から次々と新聞配達に向かう原付バイク。11台が毎日フル稼働しています。
長年、「原付」の愛称で親しまれてきた50cc以下の「原動機付自転車」ですが、10月いっぱいで、国内すべてのメーカーが生産を終了します。
<アカマ新聞店 細川守業務主任>
「(生産終了を聞いて)まさか、ほんとにまさかですよね。仕事をするうえで絶対に必要」
原付免許で運転できる排気量50cc以下のバイクをめぐっては、11月から新たな「排ガス規制」が始まることが3年前に決まりました。
今後は、有害物質の少ないガスを排出することが求められますが、原付バイクは車体が小さいため技術的に難しく、基準を満たすには多額な費用がかかることから各メーカーは生産終了に踏み切ったのです。
浜松市内の約3500軒に新聞などを配達しているこちらの販売店では、今後、電動バイクに買い替えていくとしていますが...。
<細川業務主任>
「やっぱり、買い替えのコストや充電場所の確保が大変になってくる」
静岡県内に6店舗を構える「バイクのアオヤマ」です。
<モビリティ遠鉄 桜井幸一営業本部長>
「(原付バイクは)これまでは30台くらい置いてあったが、最近原付バイクが売れるものですから減少しています」
原付バイクの在庫は常に150台を確保していましたが、生産が終了することが分かってから駆け込み需要が増え、現在は100台ほどに減っています。
<桜井営業本部長>
「(売上の)4割くらいが原動機付き自転車の販売台数だったので、この辺がなくなるのは大変厳しいかなと思う」
こうした中、ホンダは10月、国内の企業としては初めて11月から始まる新たな排ガス規制に適合した「新基準の原付バイク」を発表しました。
新しい基準に適合した原付バイクは125cc以下ですが、これまでの原付免許で乗ることができます。11月に販売されるスクータータイプは価格が23万9000円、「スーパーカブ」をベースにしたモデルは34万1000円だということです。
<桜井営業本部長>
「魅力のある商品が市場を一番大きくしてくれると思うし、地域の足を支えるというのは車も二輪も同じだと思う。二輪の中でも交通弱者を出さないようなバイク設計を(メーカーに)お願いしたい」
50cc以下の原付バイクが生産終了という転換点を迎え、身近な乗り物が変わろうとしています。なお、現在使用している50cc以下の原付バイクは、生産終了後もこれまで通り乗ることができます。







