20代にも受け継がれる「いいにする」
「いいにする」は、方言にもかかわらず若い世代にも引き継がれている点で特徴的だ。
下のグラフは、年代別の使用頻度を表す。「(いいにするを)使う」と回答した人の割合は、1970年代後半生まれ(現在40代後半)を境にやや下降しているが、それでも「使わないが、分かる」を含めると、依然として9割以上が「いいにする」を理解していることが分かった。

方言の多くは若い世代で使用頻度が下がりやすい傾向にあるが、「いいにする」は異なる。
野路アナウンサーが「やっきりする(腹立たしい)、おだっくい(お調子者)、ごせっぽい(清々する)といった静岡弁は、若い人はあまり使わない。言葉によって使用頻度に差が出るのはなぜか」と尋ねると、谷口教授は「これまでの研究では、いかにも方言らしい表現は衰退する傾向があることが分かっている」と答えた。
「いいにする」は方言らしさが薄く、標準語に近い柔らかな表現であるため、世代を超えて使われ続けているのではないかと考察する。
野路アナウンサーは「若者にとって古くさい感じがする方言は、東京の言葉に言い換えられやすいのかもしれない」と話した。