東日本大震災の発生から、まもなく13年。岩手県大槌町には、震災で9人の園児を失ったこども園があります。犠牲になったのは、いずれも地震のあと、保護者に引き渡した園児たち。「一緒にいればよかった」と、この施設の園長は、今もぬぐえぬ後悔を抱えています。
「もう二度と、災害の犠牲になる子どもを出さない」
園長は、大切な子どもたちの命を守るためには何が必要か、あの日から13年の時を刻もうという今も、日々向き合い続けています。
(SBSアナウンサー 滝澤悠希)

岩手県の沿岸部・大槌町にある、「おおつちこども園(震災当時は保育園)」で園長を務める八木澤弓美子さん(58)。80人の園児が在籍するこの園で、約30年、子どもたちと時間をともにしています。
<八木澤弓美子さん>
「(子どものことは)大好きという次元を超えているかもしれないですね。いるのが当たり前だし、生活の一部だし、人生の一部」
いつも笑いの絶えない園ですが、13年前のあの日はその様子が一変しました。