8月下旬、内閣府は富士山が噴火した場合のシミュレーション動画を公開し、いざという時の備えを改めて呼びかけました。こうした中、静岡県富士市や静岡県富士宮市では、個人個人をつなげて「地域の防災力」を高めようという取り組みが始まっています。

<講師>
「お酒も半分ずつ入れて。みりんも半分ずつ」

静岡県富士宮市のJAの調理室で行われていたのは、ポリ袋を使い節水しながら作る「防災食の講座」です。地元JAの女性部は、2023年から、「防災食」について学んでいます。女性部の支部長、赤池さんは富士宮市で特産の落花生などを作っています。富士山の噴火が取りざたされる中、赤池さんは、みんなで防災について考えることが、いざという時の力になるといいます。

<赤池恵子さん>
「富士山を抱えている私たち地元民が考えているのは、災いはいつ起こるかわからないからみんなが一斉にそれに向かって行動できるっていうのをやれたらいいな」

今回は、赤池さんの呼びかけに11人のメンバーが参加しました。

<参加者>
Q.いざという時にできますか?
「できないことはないから、やります」

<参加者>
「災害の時には助かると思っている」

<JAふじ伊豆女性部 富士宮地区本部北山支部 赤池恵子支部長>
「災害はいつ起こるかわからないから、その日のために協力してみんなでやっていけたらいいなと気持ちでは思うんですけど、なかなか(地域全体で)協力的なものが少し足りなくなってきたかな」

女性たちが中心となって「地域の防災力」を高めようという活動は静岡県富士市でも行われています。

「オムライス、OK。じゃあさ、もし地震とか来て、ご飯ちょっと何か作れるものがないかなって思ったらママにこれあるよって言ってね」

8月、静岡県富士市で開かれた防災のワークショップ、「あそBOUSAI」。防災食のレシピを貼ったうちわづくりなど、親子で楽しみながら「防災」について考えます。

主催したのは2023年から活動を始めた「富士女性災害支援ネット」のメンバーです。代表の杉山文香さんです。

<富士女性災害支援ネット 杉山文香代表>
「このあたり一帯が水に浸かってしまったような状態です」

2021年7月、静岡県富士市須津地区や浮島地区では大雨で住宅が浸水するなどの被害が出ました。杉山さんは当時、消防団員として地域の被害を目の当たりにしました。

<杉山さん>
「被害を受けているのに何もすることができないという自分が不甲斐ないと言いますか、同じような気持ちの方たちに声をかけさせていただいて、1人1人の強みがあわさることによってさらに大きな、被災者に差し伸べる手になるのではないかと」

自分と同じように防災に関心がある人をつなげたい。杉山さんたちの思いは、地域の人にも伝わりはじめています。

<来場客>
Q.スリッパを見せてください。作ってみてどうでしたか?
「楽しかった」

<来場客>
「身近なもので防災に役立つものが作れていい経験になりました」

<来場客>
「男性も女性も関係なくみんなで協力しあえれば一番いいことだと思います」

<杉山さん>
「1人1人の力は小さくても災害時に1人1人の繋がりの力がとても大きいと聞きます。このつながりの力を、富士市の女性のつながりを広げることで、災害時により大きな支援として被災者の方に届けたい」