味噌やワサビ、寒天といった信州ならではの「食」をより深く知ろうとフランスの研究者が県内の産地を巡っています。
2日、阿部知事を訪れたのは、パリ・サクレー大学教授のラファエル・オーモンさん。

食材の味や舌触りなどを科学的に分析し料理に生かす学問「分子ガストロノミー」の第一人者です。
ラファエル・オーモンさん:
「味噌=味噌汁、ワサビはスシにつくもの、だけではつまらない。素材としてもっと可能性がある」
3日、一行がやってきたのは安曇野市穂高。
オーモンさんが注目する食材の一つ、ワサビの産地を生産者の案内で視察します。

藤屋わさび農園 望月啓市さん:
「安曇野は平地式栽培っていうんですけど、地下水を利用した栽培方法でして」
県は県産食材を海外に売り込み、あわせて信州の風土や自然も知ってもらおうという取り組みを進めています。

オーモンさんには以前から食材を送って分析を依頼していて、今回は気候や自然、文化など食材が育つ環境=「テロワール」を肌で感じてもらうことが目的です。
地面から絶え間なく湧き出る地下水で育ったワサビ。
採れたてをさっそくすり下ろします。
ラファエル・オーモンさん:
「あまり辛くない植物性の感じがします」
生産者もワサビの海外での消費拡大に期待を寄せています。
藤屋わさび農園 望月啓市さん:
「海外の料理の提供の仕方はストーリーを大事にして一つ一つの食材を提供してくれる。来ていただくとワサビのストーリーが一からわかるので、そういうところが足を運んでもらうことの良さ」

オーモンさんは視察のあと、「ワサビの味は辛さだけではないことなどがわかった。今後ワサビを使った新しいレシピができる可能性があると思う」と話していました。
オーモンさんは4日まで県内に滞在し、味噌や寒天、日本酒の生産現場などを見学する予定です。