東南アジアのミャンマーで軍がクーデターを起こしてから、1日で2年が経ちました。
軍に実権を握られた母国が再び民主化されることを願って、信州から支援を続けている若者たちを取材しました。
2年前の2月1日に起きたミャンマー軍によるクーデター。
全土で巻き起こった抗議の動きを力で封じ込めこれまでに3千人近い市民が犠牲になったとされます。

(Sさん)「(ここで働いてどれくらい?)6年目です。(寒いですよね)寒いですね。本当は帰りたくて…。(本当は帰りたい)はい、家族を思い出して会いたいですね」
安曇野市のリンゴ畑で作業をする、ミャンマー出身のSさん。
クーデターが起きたため、帰国するのが難しくなりました。
(安曇野ファミリー農産・中村隆宣社長)「ずいぶん本人たちは心配していました。送金ができなくなったり、家族と連絡が取れなかった時期もあったので」
この農園ではミャンマーから来た若者4人が、技能実習などを続けています。
クーデターのあと、2022年7月に来日したTさんにその目的を尋ねると…。
「お金欲しいですから。ミャンマーはいま国は困りましたから。戦争は毎日ある。だからお金は欲しいです」
働いて得たお金は戦乱の中にある家族への送金、そしてもう一つ…、今も軍政と戦っている民主派組織の支援に充てています。
「PDF(国民防衛隊)とNUG(挙国一致政府)とみんなはお金を送っています」
毎日、SNSなどを通じて伝わってくる現地の惨状。20代の若者たちが願うのは母国の民主化です。
「(知り合いで被害にあった人は?)えっと…いますね…。(その人はどういう人?)それは…、ん―…、PDF(国民防衛隊)とNUG(挙国一致政府)。みんなが一番欲しいのはデモクラシー(民主政治)」
1月28日、長野市で集会が開かれました。
(在日ミャンマー人の男性)「実は今年に入ってからもう、集団殺害もすでに何件か起こっています。ザガイン管区で7人が命を落としてケガ人は30人」
集会は、県内の有志でつくる「ミャンマー民主化を支援する信州の会」が企画し、安曇野市の4人も参加しました。
当初より増えている放火や虐殺。さらに講演の中で指摘されたのが、軍が持つ利権の構造です。
「軍に入るということは、お金持ちになりたいということで入った人たちが多いので、自分たちの財産を守るためにはなんでもやるというのが、軍に所属している人たちの考えていること」
日本の政府や企業の問題点にも話が及びました。
(現地からオンラインで参加・映像プロデューサー・新町智哉さん)「現在のミャンマーをまともな法治国家として認めないという意思を力強く出しているのが、ヨーロッパであったりアメリカであったりするところですね」
日本政府は、国軍とのパイプを重視していて、ODA=政府開発援助も全面停止には至っていません。
また、現地にいる日本人の間では、軍政の問題に沈黙する空気が漂っているといいます。

「ほとんどの方は無になって何も考えずに、仕事だったり色んな理由があってこちらにきている方がいるので、その人たちは基本的に何も感じないようにしているんじゃないかなというのが僕の個人的な感覚です、ニュースにならないけど、実は日本人が被害にあっているのがかなりあるんですね。そういうことに関しても何か言うことすら良くないんじゃないかと」
多くの難民が発生し、収束が見えないミャンマーのクーデター。
集会の最後、発言を求められたSさんは次のように話しました。
「軍とPDF(国民防衛隊)の戦争が毎日行ってて、どちらでも死んでいるのは嫌だと思います。いまはこうなっているミャンマーのことを終わらせたいと思います。できるかできないかじゃなくてやるかやらないかが大事だと思います」
ふるさとから遠く離れた信州で、ミャンマーの若者たちは、いまこの瞬間も戦い続けています。