しなの鉄道は3月のダイヤ改正で列車の減便、4月から一部の区間で運賃を見直します。

ポイントは「乗継割引(のりつぎわりびき)」の廃止。
例えば、千曲市の屋代駅と長野駅の区間は現在350円。

JRなど他社を乗り継ぐ区間で初乗り運賃が割引される乗継割引が適用されていますが、ダイヤ改正に合わせて、その乗継割引が廃止となり、これまで通り乗り換えはありませんが、初乗り運賃がプラスされ、430円へと80円値上がりします。

なぜ割引廃止なのか、トップに聞きました。

一日3,100人以上が利用する千曲市のしなの鉄道・屋代駅。

4月1日、この駅から長野駅までの運賃が、350円から430円へと、80円値上がりします。

「知らない!、困る、80円は学生にとっては大きい」
「毎日使うものだから・・・」

理由は、JRなど他社の路線との「乗継割引の廃止」です。

鉄道で別の会社の路線を乗り継いだ場合、それぞれ「初乗り運賃」がかかりますが、しなの鉄道は、信越線の営業をJRから引き継いだ際、急激な運賃上昇を抑えるため、「乗継割引」を適用してきました。

4月に乗継割引が廃止されると、運賃は40円から最大で80円値上がりします。

なぜいま、割引廃止なのか?
しなの鉄道の土屋智則(つちや・とものり)社長は、こう説明します。

「このままだとしなの鉄道の存続が危ぶまれると、非常に危機的な状態だと」

1997年秋、長野新幹線開業に合わせてスタートした「しなの鉄道」。
新幹線と同じルートを走る路線をJRの経営から切り離す「並行在来線」の第1号です。

JRから路線や車両を103億円という実態と合わない価格で買い取り、県からの借金を抱えたしなの鉄道。

赤字に苦しむ中、当時の田中康夫知事が招いた民間企業の社長が就任。
意識改革やサービス向上に取り組み列車のワンマン化などコストカットを積み重ねてきました。

開業8年目で初の営業黒字を達成。
県が借金の債権を放棄したことで経営は軌道に乗り、観光列車「ろくもん」の導入や、軽井沢駅の遊園地併設などユニークなアイデアも実現してきました。

歴史ドラマの放映や外国人観光客増加の追い風も受け、長野と新潟県の妙高高原を結ぶ「北しなの線」の営業を引き継いでからも、14期連続で最終黒字を続けてきました。しかし…。