「完全責任能力があった」死刑求刑
心情を述べた11人の遺族全員が極刑を求めた。続いて、公判は検察側の論告求刑に入った。この中で、検察側は、妄想が動機形成の要因になったものの、殺害を決めた点に影響はなかった。直接犯行前から犯行後にかけての行動などから、善悪の判断や自分をコントロールする力は十分保たれており、完全責任能力があったと主張。死刑を求刑した。

検察官:「いずれの犯行も確定的殺意に基づく非常に執拗で残虐非道であり生命軽視は顕著。4名の尊い命を奪った結果は誠に重大であり犯行態様が他に類をみないほど悪質。死刑を回避すべき事情はなく、死刑を選択することはやむを得ない」
公判が始まって10日目の9月26日。弁護側の弁論が行われた。争点の一つ、「責任能力」について、青木被告は、統合失調症が再び悪化した状態で「妄想」の強い影響により、善悪の判断に従った行動をとることは著しく困難だったなどとし、「心神耗弱」を主張した。
弁護人:「善悪を判断し、その判断に従った行動を取ることは著しく困難だった。殺害以外を選択できる能力が欠けていたあるいは乏しかったとすれば、動機とその後の犯行を切り分けることは困難だ」
そして「量刑」については。
弁護人:「周囲から精神障害を気づいてもらうことができなかった。適切な治療を受けていれば事件は起こらなかった。こうした事情を考慮し、死刑は回避されるべきであり、無期懲役が相当と考える」