松本駅前ではムクドリの大群が集まり、大量のフンや鳴き声などが問題となっていましたが、その後急に姿を消したといいます。

理由を取材してみると、“ある対策”が功を奏したようです。

2月10日のJR松本駅前。

森信穂記者レポート:「次から次へと、黒い影が集まってきます。すごい数のムクドリが飛んでいます」

午後5時半、姿を現したのは1万羽近いムクドリです。
あっという間に、道路の両側、250メートルほどの範囲の電線を占拠。
去年の秋以降、この光景が続き大量のフンや響き渡る鳴き声が、問題となっていました。

しかし今週、再び現場を訪れてみると…

森信穂記者レポート:「午後5時を回った松本駅前です。1か月前、おびただしい数のムクドリが飛んでいた同じ時間帯ですが今はその姿、まったくありません」

なんと、ムクドリがこつ然と姿を消していたのです。

周辺の宿泊施設に、話を聞くと…。

エースイン松本 林支配人:「急にある日を境にいなくなったので、私どももびっくりしています」

突如、いなくなったムクドリの大群。

実は、電線を管理する中部電力が行った“ある対策”の効果とみられます。

作業員が、手に持った機器をムクドリのいる電線のほうに向けると…
なんと、一斉に飛び立ちました!

使われたのは、静岡県の会社が開発した特殊なLED照明機器、その名も「ホロライト・チェッカーズ」。

その仕組みがー

パイフォトニクス 池田貴裕社長:「5×5=25点のドット状の光を市松模様に並べた光を高速に反転照射する、それにより人間の目で見ると残像で25個の点が見えるわけなんですが、そのパカパカ(点滅)した光が実際に鳥には見える。いわゆる刺激的な光という形で」

人間の目よりも反応が良い鳥の目は、高速の点滅をそのまま認識。

詳しいメカニズムは分かっていないものの、何らかの脅威だと感じ逃げ出すといいます。
もともと、地元の浜松市のムクドリ対策に役立てようと開発をはじめ、4年前に製品化。

今は東京や大阪など全国で使用され、効果が見られているといいます。

パイフォトニクス池田貴裕社長:「ムクドリは大体効くだろうと思っています。コンセプトは本来いた場所に戻してあげたい。刺激を与えてそれでまた根気強くやれば移動するはずというところ」

作業に当たった中部電力パワーグリッドによると、松本駅前では、2月17日から「ホロライト・チェッカーズ」を使用。

午後5時半から1時間半の追い払いを2日間続けたところ、3日目には姿を見せなくなったということです。

追い払いの効果でムクドリがいなくなった駅前は、市が道路の清掃をしたことで汚れもきれいに。

フン害と騒音に頭を抱えていた周辺の施設も、胸をなでおろしています。

エースイン松本 林支配人:「観光で松本にいらっしゃるお客様もここを通りすがるので、そういう意味ではここがきれいになったのは本当によかった。戻ってこないのを願うばかりです」

姿を消したムクドリがどこに行ったのかは分かっていないため、市と中部電力では、今後の経過を見守ることにしています。