大きく変わったのが脱衣所だった場所に広い休憩スペースを設けたこと。

5000冊の漫画や雑誌を並べ、子どもが遊べるスペースも作りました。

羽鳥心之介マネージャー:
「脱衣場って一番過ごす時間が少ないので、狭くしてしまおうと。広く開けたスペースに漫画なり、ちょっと付加価値のあるものをギュッと詰め込んで、みんなにここで過ごしていただいて」

脱衣所には昔ながらの鏡やロッカーも残し、古き良き銭湯の雰囲気も大切に。

番台も残しつつ、受け付けにはタッチパネルを設置しました。

羽鳥心之介マネージャー:
「番台に立ってお客様とやり取りをするコミュニケーションももちろんありますし、実際の銭湯の良さが結構なくなっちゃうなみたいなことが個人的にはあるんですけど、ただ、やっぱり僕らもワンオペでしかちょっとできないなと今の現時点では。どれだけ作業効率よく回していくか」

番台のスタッフは、裏にある窯の様子をカメラで常に確認し、30分に一度、薪をくべに行くなど仕事は多岐にわたります。

新しい桑の湯ではおよそ15人のスタッフが、早朝5時から深夜1時までというかつての倍以上の営業時間を交代で切り盛りしています。

旧桑の湯のときから3年ほど働いているという永原光哉(ながはら・みつや)さん。

永原光哉さん:
「朝5時からでしょ。夜中の1時かな。考えられなかったですよ、最初は。ニコニコさんのスタイルですかと聞きましたら、なるほどなと。ニコニコさんが来ましてラッキーと思いましたね」

小林圭介(こばやし・けいすけ)さんは風呂好きが高じて初めて銭湯で働くことになりました。

小林圭介さん:
「楽しいです。はい。結構熱いんですけど、やっぱり自分が燃やした薪がお客さんのお風呂で気持ちよくなってもらえると思うと嬉しいんで」

責任者は大阪や神戸の銭湯でもマネージャーを務めている羽鳥心之介さんです。

上々のスタートを切ったように見えますが、人口6万5000人余りの塩尻市で経営は成り立つのでしょうか。

羽鳥心之介マネージャー:
「経営的には厳しいとは思います。うちの大阪のお風呂屋さんの徒歩15分圏内で、大体8万人ぐらいいるんすよ。なので、桑の湯さんから徒歩15分っていうと、確か8000人とか9000人、10分の1くらいになっちゃうんですよね」

ニコニコ温泉が大都市圏以外での銭湯の運営に乗り出すのは桑の湯が初めて。

そこには強い思いがありました。

羽鳥心之介マネージャー:
「この狭い、いい具合の狭さ、知らないおじいちゃん、おばあちゃんと子どもたちと、いい距離感でお風呂に入って、別に話すわけでもなく、何か1人じゃないなみたいな、そういう感覚っていうのが、銭湯の魅力の一つじゃないかなと思ってて、やっぱ塩尻唯一の銭湯って聞いたときに、ちょっとなくすのはもったいないかなと」

この日も、1人2人とファンが訪れました。

銭湯を愛する人々にはそれぞれの思いがあります。

30代スーパー店員:
「うちのアパートのお風呂がやっぱ寒いので冬、やっぱ銭湯行った方が広い風呂に入りたいのでいつも仕事終わりに行ってます」

50代医療関係:
「お子さんの声も聞こえるしね。賑やかなとこでいいと思いますやっぱり。兵庫県で日帰り温泉なんか入った日は何千円取られるかわからへん」

30代製造業:
「こういう銭湯って、全国的にやっぱり少ないですし、どんどん減っていく中、やっぱこうやって復活したってすごく嬉しいですし、また塩尻の街に人が集まるきっかけになればなと思います」

20代松本歯科大6年生:
「もう楽しいですね。なんか裸の付き合いというのが、日頃では喋れないこともこういうところで赤裸々に喋って、何か相談とか乗ったりとかできる場でもありますよね。いいとこだと思います」