県内外に知られるねずみ大根ですが、その歴史は古く、江戸時代には俳人の松尾芭蕉が町を訪れ、おしぼりうどんを食べて詠んだとされる句が残されています。

西念寺 若麻績実豊住職:
「『身にしみて大根からし秋の風』松尾芭蕉の更科紀行に載っている句なんですよ。1688年坂城宿の本陣、宮原拾玉邸に招かれて滞在した。その時おしぼりうどんで食してこの句が詠まれたといわれています」

西念寺では芭蕉の句からおよそ80年後に建てられた本堂の向拝(こうはい)にも大根の彫刻が施されています。
寺社の建築物に使われるモチーフとしては珍しいということですが、住職は大根の里として知られるこの町で、地域の人々の幸せを願って彫られたのではないかと話します。
西念寺 若麻績実豊住職:
「この町に昔から暮らす人たちのひとつの伝統野菜として、これからも大切にしていくべきものだと思います」
この地域に根付く伝統野菜がいま、猛暑の影響にさらされています。