シリーズでお伝えしている「台風19号災害から5年」。
千曲川の堤防が決壊した長野市長沼地区で、泥に覆われた中から見つかった「奇跡の太鼓」を復興のシンボルとして活動を続けてきた太鼓グループの5年を追いました。
長野市長沼地区の「長沼こまち太鼓」。
活動17年目のチームの主役は、地元の女性たちです。
米沢豊子さん:
「(当時は)太鼓に元気を貰って打っていました。それできょうがあります」
「とてもいいグループです」
浦野明子会長:
「太鼓を叩くとみんなの心も一つになるので、無くてはならないものだと思います」
「この太鼓も泥の中に入って、もう使えないと思っていたけど、5年経っても私たちにちょうど見合う太鼓の音を出してくれていて本当にありがたい」
演奏に使う太鼓には刻まれた傷が・・・。

あの日の濁流に耐え抜いた、「奇跡の太鼓」です。
2019年10月13日。
長野市の長沼地区では、千曲川の堤防がおよそ70メートルにわたって決壊。
濁流が街を飲み込みました。
当時71歳だった宮澤秀幸(ひでゆき)さん。
決壊現場近くにあった、公民館にあたる長沼交流センターでセンター長を務めていました。
決壊の2日後、泥に覆われた道を進み、被害の状況を確認。
変わり果てた交流センターの姿を目の当たりにしました。
「本当に悲しいですね・・・涙」
この時、見つけたのが、泥にまみれたひとつの太鼓。

宮澤さんが指導する長沼こまち太鼓などで使われていたもので、交流センターから300メートルほど離れた民家で見つかりました。
宮澤さんと太鼓チームは、2012年から東日本大震災で被災した福島県を訪れ、演奏を披露。
被災地の人たちを、元気づけてきました。
宮澤秀幸さん:
「太鼓の響きによって復興の原動力にしたい」