事件の前月、夫に離婚を切り出され絶望した母親 「妻と子 無理心中」と検索
検察の冒頭陳述によると、母親と夫との別居のきっかけは昨年5月20日、「深夜に被告が自宅でスマホゲームに熱中していた」という些細なことでした。口論から、夫に離婚を切り出され、2日後に自宅から追い出されたといいます。

息子を連れて実家に帰った被告。
別居当初から、法律事務所に離婚の相談電話をかけるとともに、「妻と子 無理心中」「確実に死ぬ方法」などとウェブの検索していたといいます。
しかし、幼稚園からの幼なじみである夫に対する愛情がそう簡単に消えることはなく、「ごめんなさい。別れたくないです 家に帰っちゃダメですか」などと夫にメッセージを送り、電話もかけたものの、返事はありませんでした。
夫からのメッセージ 結婚式の写真・息子の工作を「処分してください」に...
実家に帰り約2週間が経った6月6日、同居する親族が新型コロナに感染し、息子にうつることを心配した被告の父から一度自宅に戻るよう提案されます。その時、夫からメッセージが…。
「明日の朝、2階の荷物を玄関先に出しておきます。処分して下さい」

自宅の2階には、結婚式の写真や、長男がつくった工作など、幸せだった頃の大切な思い出の品がありました。
メッセージを見た被告は「二度と帰ってくるな」と言われたように感じ、深い絶望に襲われたといいます。待ちわびていたはずの夫からのメッセージに、返信はしませんでした。
夫への愛情は怒りに...「夫に責任を感じさせたい」
夫に責任を感じさせたい―――。
自宅から追い出されてもなお抱いていた夫への愛情は、この時怒りに変化したといいます。そして育児を母親一人で担っていたことなどから、「息子は自分なしでは生きていけない」と長男の殺害を決意しました。
被告は、夫の父から借りていた軽乗用車の中で自殺することで、夫に遺体を発見させ、思い知らせてやろうと考え、この車を犯行場所に選んだといいます。
そして犯行に及んだ母親 自らの首を包丁で切りつけるも...
6月7日早朝、被告は実家で寝ていた息子を車内に移動させ、首にタオルを巻きつけたうえで、殺したといいます。
息子がぐったりして動かなくなった後、女は自らの首を包丁で切りつけるなどして自殺しようとしましたが死ぬことはできず、寝ていた実父を起こして息子を殺害したことを告白しました。
その後、実父が車内に横たわる息子を発見し、119番しましたが、約5時間後、搬送先の病院で死亡が確認されました。