死産・流産で5人の子を失った母親 殺害したのは6人目の子どもだった

被告人質問などによると、夫婦は幼稚園からの幼なじみで、高校から付き合い始めると21歳で結婚し、幸せな夫婦生活をスタートさせます。
しかし、度重なる死産・流産で、これまでに5人の子どもを失い、夫は被告に「子を産む機械」であるかのような理不尽な暴言・暴力を浴びせるようになったといいます。
不妊治療を続けて授かった6人目の子どもは、重い知的障害を持って生まれてきたものの、被告にとってはまさに宝物でした。
しかし息子が2歳になった頃から、夫は育児にほとんど協力することはなくなり、被告は子育て・家事を一人で担っていたといいます。
弁護側「突発的に心中に踏み切った」検察側「きわめて短絡的かつ身勝手」
最終弁論で弁護側は、「被告はこのような状況のなかで、愛する夫から自宅を追い出された挙句、最終的に離婚を切り出された。新型コロナで実家にも居られない自分は、もはや居場所がないのではないかという、極度の心理的ストレスやうつ病で心神耗弱状態にあった」と訴え、「突発的に心中に踏み切ってしまった」として、懲役は長くとも3年、そして執行猶予を求めました。

一方で検察側は、被告は犯行時、「ごめんね」と長男に語り続け、その後に父に犯行を告白するなど、自らの行為の違法性を認識していて責任能力が認められると主張しました。その上で、夫が子育てに協力しないことに絶望し、息子を心中に巻き込んだことは、極めて短絡的かつ身勝手であるなどと指摘し、懲役8年を求刑しています。

最終陳述を求められた被告は、「いいえ何もありません。私はみなさまが決めた判決をすべて受け入れます」と述べました。
裁判員は、被告の責任能力についてどう判断するのか。またこれまで被告が置かれてきた状況をどのように判断し量刑を決めるのか。
判決は、10月3日に言い渡される予定です。
