冬はどこに?

──春先から初夏まではよく見ますが、それ以外の時期はどこにいるのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)

「今の時期は、ちょうど越冬期にあたります。夏までの間に屋外で産み付けられた卵が、そのまま春まで残り、静かに時を待っている状態です。

そのため、冬の間は動き回る個体は見られず、卵もコンクリートの隙間や微細な亀裂の中にひっそりと存在しています」

「日常生活の中で目にすることは、まずありません。理屈の上では、コンクリートの隙間に生えたコケなどを剥がし、その内部を顕微鏡で観察すれば、卵を確認できる可能性はあります。

しかし、こうした作業は専門的で、一般の方が察知するのは現実的ではないでしょう。

再び姿を見かけ始めるのは、3月下旬頃からです。この時期になると、孵化した幼虫が活動を始め、壁面や屋外構造物で目につくようになります」