生きることの意味を問い続けて
現在も深迫さんには心ない言葉が向けられるといいます。
「よく人前で息子さんの話ができますね」「死んだ子の話なんか、絶対人前なんかでできない」「私は子どもが先に死んだら生きていけないわ」
そうした声に対し、深迫さんは答えます。
「私は生きているから、生きていけますよ。でも辛くて死にたいと思われるんだったら仕方ないですよね。私は前向きで生きていってるから。これを息子は喜ぶんですよ」
忍さんの死から6年。深迫さんは今も全国各地で講演を続け、命の大切さと被害者支援の重要性を訴えています。
筆者の心に残ったのは、講演後、「どんな支援が役に立ちましたか?」という質問に答えた深迫さんの言葉でした。
深迫祥子さん
「事故直後の渋谷警察署の対応がとてもありがたかった。それは、ただそばにいて寄り添う、ということだった」
深迫さんは、「何か声をかけなくてはと思って出たその言葉が、被害者の家族を苦しめることがある。どんな声をかけたらよいか分からないからと、人が遠ざかってしまうこともある。そうではなく、ただ静かにそばにいてくれるだけでいい。いつも通り接してくれるだけでいい」といいます。
──無関心から共感へ。
深迫さんの願いは、少しずつ、着実に広がっているように感じました。
【前編】はこちらのリンクからご覧いただけます。
「これが人間の顔なんだろうか」事故で亡くなったバリスタの男性(当時29)母親が語る二次被害「交通遺族は賠償金が入るからいいですよね」
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「よく人前で死んだ子の話ができますね」事故で亡くなった男性の母親に向けられる心ない言葉 それでも前向き「無関心から共感へ」










