伝統あるイチョウ並木にはギンナンが落ちる なぜ?

──筆者の母校の岡山大学では、イチョウ並木が有名ですが、美しい黄葉の記憶とともに「ギンナン」の臭いも思い出します。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「イチョウの中でも実をつけるのはメスの木だけで、現在更新される街路樹では原則オスの木が使われるそうです。
それなのに、市街地でどう見てもメスの木が混ざっているのはなぜでしょうか。
最大の理由は 若木の段階では性別が判別できない ことにあります。
イチョウは成長して実をつけるようになって初めて『メスだった!』と分かることが多いのです。
さらに、昭和期までの植栽では 実生苗(種から育てた苗) がよく使われ、オスの木だけを計画的に増やす接ぎ木が一般化していませんでした。
このため、大規模な街路樹の整備ではイチョウの性別が読みづらく、結果としてメスの木が混ざるケースが多かったわけです。
また、当時は現在ほど匂い問題に敏感ではなく、地域によっては『季節感があってよい』としてあえてメスの木を残した例もあります。
いまの基準で見ると不思議でも、時代背景としては自然な判断だったとも言えるでしょう」










