判決は
判決は、懲役7年の求刑に対し、懲役6年でした。
量刑の理由について、
「被告人は、父親不明の男児Cを育てる気もないまま出産し、赤ちゃんポストに届けるなどしようと考えたものの、体力低下や生活の困窮などもあってこれを断念し、男児Bの死体遺棄の発覚をおそれて公的機関等への相談もせず、これまでの生活を維持するために、男児Cを生かそうとする努力を放棄し、殺害を決意した。
その犯行態様は、抵抗することのできないえい児の顔に濡れたタオルをかけて窒息死させるという悪質なもので、生命の尊厳を軽んじる犯行であり、厳しく非難されるべき。
生きるために唯一頼ることのできた母親から、このように生命を蔑ろにされた被害児の死亡の結果が重大であることは明らか。
生活に困窮するに至った点や他に救済を求める手段を検討しなかった点について、ADHDの影響があった可能性は否定できない。
しかし、被告人は10日前後養育した後、諦めて殺害を決意したのであって、衝動性はうかがわれない。
殺人にADHDが与えた影響は大きいとはいえず、この障害特性を理由に刑責を減じるにも限度がある。加えて、被告人がこの男児のほか2名のえい児の死体を長期間放置する死体遺棄にも及んだことに照らせば、殺人の法定刑の下限である懲役5年を超える刑を選択すべき。
一方、社会福祉士らによる支援の道筋が示され、被告人は、今後、その支援を受け、よく相談して行動すると誓った。また、被告人は自分に不利益なことも積極的に供述し、亡くなった子らに謝罪して弔い続けること、正業に就いて就労を継続すること、これらによって、自分自身を大切にして、他から頼られる存在となることを誓った。
被告人には前科もない。これら酌むことができる事情を考慮し、被告人の更生を期待して判断した」
としています。










