「私たちが知らない熊本地震」今回は被災した経験を漫画で綴った女性の話です。
7年前に出版された1冊の同人誌。中には熊本地震の記憶を綴った作品がありました。

4月16日午前1時半ごろ…
「あっ、テレビが飛んだ!」
「いやあぁ…揺れが収まんない逃げる?もう少し待つ?どうしよ…」

「起きろ!地震だ!逃げろ」
「消防団の声…そうだ逃げなきゃ…」
「お父さん、お母さん、逃げるよ!」

漫画には地震発生直後の様子だけではなく避難所での炊き出しや役立った防災グッズなど被災者が見た熊本地震が記されています。

作者は熊本市に住む大樹(ひろき)さん。
中学生の頃から趣味で漫画を描いてきました。

20年近く続けている同人誌の活動でこの年はじめて熊本地震の体験を綴った漫画を制作しました。
大樹さん「これはとんでもないことが起きたんだろうなって…自分が伝えることができる形が漫画しかないので」

全10ページの作品ですが忘れられない光景を描いた1ページがあります。
父親の友人を見舞おうと益城町を訪れた時に見た延々と続く瓦礫の道でした。

大樹さん「こんな現実があるんだなって…ただ単に地震のあとみんなで助けましたって。それだけで終わってはいけないと。それでは描いている意味がないと思ったので」
多くの人に熊本で起きたことを知って欲しい。そしてこの経験が少しでも防災意識の向上に繋がれば…。

大樹さんは漫画の最後に実際に撮影した避難所の夜明けの写真を使い、この言葉を綴りました。

『明けない夜はない』

大樹さん「(この時は)先が見えない人たちがたくさんいたけれども、『明けない夜はない』と思って頑張っている人たちはたくさんいるし、その中の一人に自分もなりたいなって」

熊本地震から7年。大樹さんはあの時に感じた思いを胸にきょうも『日常』を描き続けています。