廃棄するものがデザインで商品としてよみがえる
熊本市北区の障害者支援施設。こちらでも捨てられるはずのあるものが蘇っています。

(NPO法人クローバーアート 甲斐 浩二さん)
「捨てられる点字用紙を使って、マスクケースや封筒に」

点字用紙は厚みがあり丈夫なため、廃棄されるものを何かに使えないかとデザイナーの甲斐浩二(かい こうじ)さんが考案しました。

(甲斐さん)
「点字って存在は知っているけど実際触らないじゃないですか。街中で困っている、目が見えなくて杖を突いている方に『あの時、点字の封筒かったよね』と手助けのきっかけになれば」

素材となる点字用紙は、打ち損じや印刷テストで使用した廃棄されるもの。
点字印刷機器の製造、販売を行う会社から提供してもらっています。
(日本テレソフト 藤本 修三さん)
「1台で大体100枚前後テストに使う。(テストした後の紙は)使い道がないんですよ」

また、マスクケースや封筒を作っているのは施設の利用者たち。
ここにも甲斐さんのこだわりが・・・

(甲斐さん)
「施設のみなさんにできれば頼みたいというのがあって」
(社会福祉法人わくわく 石本 寛自さん)
「コロナ禍で販売先やイベントも減っている中、作業の確保が一番。こうやって新しい仕事をいただいてありがたいと思います」

(日本テレソフト 藤本 修三さん)
「障害者の方の作品としてまた世に出回るのは素晴らしいことだと思います」

甲斐さんがデザインを通じて目指すのは、障害者と社会が循環していく世の中です。

(甲斐さん)
「素材段階で障害のある方が作業として関わって、それを欲しくなるようなデザインにして、販売した利益を障碍者の活動資金に還元していく。そういう【優しさ】の循環ができたらいいなと」
