熊本の農産物の輸出額、実はコロナ禍でも増えているんです。そこには、地道な工夫がありました。
次々と積み込まれる県産のミカン。八代港から台湾へと輸出されるものです。

2021年に台湾との定期コンテナ便が就航し、台湾まで最短3日で物を届けることができるようになりました。

これまで木材の輸送がほとんどでしたが、県は今回、農産物を試験的に輸出することにしました。
熊本県 販路拡大ビジネス課 前田 隆 課長「今回の実証実験を通じて、熊本県の農林水産物がさらに世界に出ていくことを期待しております」

また、2022年7月には、温度管理ができる「CFS(シーエフエス)倉庫」という県内唯一の施設が完成。品質を保って台湾に届けることを商品価値に加え、県産の農産物の販路拡大を目指します。

この試験運用に参加したのが、玉名市の柑橘農家・右田 桂郷(みぎた けいごう)さん(39)です。国内向けのネット販売が中心だった右田さんにとって、今回は初めての海外挑戦です。
右田柑橘 右田 桂郷 代表「昨今の農業を取り巻く環境も非常に目まぐるしく変わっていますので、1つの可能性として、挑戦するタイミングだったのかなと」

右田さんが栽培する温州みかんは、和歌山や愛媛などの有名な産地も多く「熊本ブランド」を確立させるのは容易ではありません。海外で品質を認めてもらうことが産地間競争での生き残りにつながると考えたのです。

八代港から出た商品が現地の店頭に並ぶまでには約1週間。輸送中にミカンが腐らないよう、収穫時期を1か月遅らせるなどの準備を進めてきました。
右田さん「生産者それぞれの個性も一緒に世界に向かってPRできたらなと思っています」

そんな生産者の思いを乗せ、1月10日、右田さんのミカンを含む県産の農産物が台湾へと向かいました。