繰り返してはいけない

郡家さんは戦後、熊本の旧制第五高等学校、現在の熊本大学に進学しました。

郡家さん「受験、入学で圧倒されたのは、海軍や陸軍から戻ってきた人が来てるんですよね。みんな体格がいいのよ」

食糧も少なく、戦後の厳しい社会環境の中、無我夢中で勉強しましたが、なぜか長引く微熱と強い倦怠感に襲われ、1年間の休学を余儀なくされました。

郡家さん「あとで考えたら原爆症の一種かなと思います」

たった一人の兄を亡くしただけでなく、郡家さん自身も被爆者として苦しみました。

郡家さん「立派な若い青年が次々と命を落としたんですよね。いかに戦争というのは、実に馬鹿げた無駄なことをしているかということですよね」

「こんなもんじゃもちろんないし、いろんな情報とか、書いたものとか、なるべくたくさん目に触れて読んでいただくことが大事かなと。一人一人に違った歴史がありますから」

あの日から80年。

96歳の証言者が、今も問い続けています。

「あの異様な『空気』を、繰り返してはならない」と。