議員が、有権者を代表する証として、誇らしく胸に付ける「議員バッジ」。

今年3月26日、返却された議員バッジ144個から取り出した「金」を塊にし、入札へかけたところ、約350万円の値がついたのです。

――そもそも何があった?

熊本県議会議員に対する議員バッジは、当選の度に全員分が貸し出され、任期満了や落選などで、その地位を退いた場合、必ず返却するよう議会規程に定められています。

しかし、議会事務局に記録が残る1979年からの44年間に貸し出した議員バッジ578個に対し、返却されていたのはわずか1個ということを、熊本放送(RKK)が2023年に報じました。

一連の報道を受けるかたちで、過去に県議を5期務めた熊本市の大西一史市長も当時のバッジを返却しました。

県議会事務局も本格的な回収に乗り出し、返却の動きが加速するかに見えました。

でも返却が少ない、なぜ?

議員バッジを管理する熊本県議会事務局は「速やかに返却という定めはあるものの、どの時点でどのように返すのかというルールがなく、返却を求めてもいなかった」と説明していました。

議員バッジは部分的に10金で出来ていて、購入して議員1人へ貸与するのに3万2000円ほどの税金が使われています。

そのため、議会事務局が2024年2月から電話と文書で回収を進めていましたが、2025年1月までに返却されたのは578個のうち132個にとどまります。