分煙化を推進するため、熊本市が約4000万円の予算を確保し屋内での喫煙所の整備を始めました。ただ、喫煙所の整備に税金が投入されることに賛否の声が出ています。
いま喫煙施設の設置が進んでいるのが、熊本パルコ跡地にできる複合ビルです。


熊本市生活安全課 千原 直樹 課長
「こちらの2階にですね、分煙施設第1号を設置していただくことになりました」

ここでは、ビルの関係者に限らず誰でも喫煙できるということで、2023年春に運用開始の予定です。


熊本市は、このビルを含め熊本市中心部の分煙化を進める事業に4000万の予算を確保していて、商業施設など屋内に分煙室を設置する事業者には最大1000万円を助成します。

千原 課長
​「中心市街地の本市が定める区域内に民間で分煙施設を設置する際の経費助成でございます」

この事業が始まった背景にあるのは、熊本市中心部のアーケード街周辺から熊本市が設置した灰皿がなくなったことです。
元々、熊本市はアーケード内での喫煙を条例で禁止したことに伴い、2007年にアーケード街の周辺に7か所灰皿を設置しました。


千原課長
​「ここの場所にも灰皿が設置されていたんですけど、ここで煙草を消していただいて禁止区域のアーケード内に入って頂くことを目的として、灰皿自体は設置したということになります」

しかし、熊本市はさらなる分煙化が求められる中、受動喫煙を減らすため2022年3月までに7か所全ての灰皿を撤去しました。

非喫煙者(20代 女子大学生)
「たばこの煙が嫌な人もいると思うから、灰皿がなくなったのはいいんじゃないかな」

灰皿がなくなって半年、街なかに変化が出ていました。

記者
​「もともと多くの喫煙者が利用していたこの場所、現在、灰皿は撤去されていますが、このように煙草の吸い殻や空き缶が捨てられています」

アーケードから一歩外に出るとポイ捨てされた吸い殻が…


さらに、アーケードから離れた灰皿がある公園には、限られた喫煙場所を求めこれまで以上に喫煙者が集まるようになりました。


喫煙者(60代 男性)
​「ちょっとしたタバコを吸いたい時とか吸えるところがなくなると困りますよね」


喫煙者(50代 男性)
​「(他の場所では)吸えないとは書いてないですけど、灰皿がないんですよ」


肩身が狭い思いをしている喫煙者、熊本市はアーケード周辺の灰皿を撤去した代わりに、中心部でタバコを吸える場所を確保するため、屋内での喫煙施設の整備に助成金を出すことにしたのです。

しかし、喫煙の施設に税金を投入することについて賛否が分かれています。

喫煙者 男性
「わざわざ税金投入してそんな施設を作るよりは、もともとの施設でいいんじゃないですか」


非喫煙者(20代 女子大学生)
「税金使われてもいいから分煙室を作ってほしいなって。でも、4000万はちょっと高すぎるんじゃないかな」


非喫煙者(30代 男性)
「吸う人のための場所を作るのもお互いのためになるのかなと思うので、いいと思います」


熊本市は、喫煙しない人にもメリットがあると事業に対して理解を求めます。

千原 課長
「煙たくて通れないだったりとか気分が悪くなったりとかする人が多かったというのは事実なので。タバコを吸わない方についてもメリットはあるのではないかと考えています」