◆選挙は『地盤』『看板』『カバン』
では、なぜこんな状況になったのか、です。
一つには小選挙区制の導入があります。中選挙区制だった当時は、一つの選挙区で複数の与党議員が立候補することが多く、トップ当選もよく入れ替わっていました。それが1人しか当選しない小選挙区になって候補の固定化が進んだうえ、比例復活という制度もあって与党の候補は落選しにくく、選挙区ごとに“殿様”が生まれやすくなったんです。
さらにこれは制度上の欠陥だと思うんですが、選挙資金の問題もあります。一般に親から子へ相続があれば、額に応じて相続税がかかりますが、政治家には抜け道があります。政治団体の継承です。例えば、現職の国会議員が毎年、自分の政党支部に寄付を続けて、総額が何億円になっても、その政党支部を引き継いだ子供に相続税はかかりません。
よく「選挙は『地盤』『看板』『カバン』」と言われますが、地盤の後援会と、親の名前という看板を引き継いだうえ、政治資金というカバンも残されれば、そりゃあ選挙は強いですよ。実際、日本経済新聞の調査では、小選挙区制の導入後、世襲議員の当選率は8割近く、それ以外の当選率3割に比べて突出して高いと言います。
しかも、世襲議員はそうでない議員に比べて初当選年齢が低く、例えば小選挙区制で首相に上り詰めた世襲議員9人の初当選年齢は、福田康夫氏の54歳を除いて全員20代から30代。政界は一般に、年齢ではなく当選回数で序列が決まるので、若くして当選すればそれだけ早く入閣できるので、必然的に大臣も首相も世襲議員が多くを占めるようになるわけです。







