◆改めて「改正のポイント」を見てみる


まず消費者側。契約を取り消すことができる「取消権」の範囲が広がりました。これまでも、「営業マンが強引に居座り続ける」「消費者にとって不利な情報をわざと伝えない」などの場合に、契約を取り消すことが認められていました。そこに、「立ち去るのが難しい場所へ連れて行かれての勧誘」「威迫=脅しによる相談妨害」などが加わっています。相談妨害というのは、例えば「親に相談したい」「子供に相談したい」と言ったのに、「1人で決めないとだめだ」などと迫られて契約してしまうケースです。こうした場合も、契約を取り消せるようになりました。

続いて事業者側の「努力義務」。1つは「契約を結ぶときに消費者の年齢や心身の状態、知識や経験のレベルに合わせて情報提供をすること」です。もう1つは、「消費者が契約を解除するために必要な情報を提供すること」です。
音楽や動画配信などを毎月定額の料金で楽しむ「サブスクリプション」を利用している方も多いと思いますが、「解約の仕方が分からない」「見つけにくい」といった相談が多く寄せられているそうです。
今回の改正で、事業者側は解約の方法を消費者に分かりやすく伝えることが求められています。

◆「約款? 読んでないです」18歳大学生に聞く


詳細な条件などを記した「約款」をちゃんと読んでいるのか、契約をめぐって困った経験はないか、18歳の大学生に聞いてみました。

法学部1年「読んでないです。長ったらしいんで」
商学部1年「何ページもあったりして、どこが大事なのかもまずわからずに、もういいかなって。(契約の)更新日の前に解約したかったんですけど、その日を間違えていて、次の月までお金を払ってしまった、みたいな」
スポーツ科学部1年「(電話で)『ワイファイの契約をどうですか』と言われて、断りにくかったなって思います。説明が長過ぎて、分からないところが多かったですね」

成人年齢が18歳に引き下げられ、親の承諾がなくても契約できるようになった一方で、知識や経験が少ないためにトラブルに巻き込まれたり、悪質な業者に狙われたりすることもあるということで、注意が必要です。国民生活センターは、トラブルにあったときには1人で悩まず、最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけています。