標準語とまったく違う「上海語」の特徴と社会的背景

中国の上海に「新民晩報」というタブロイド判の夕刊紙があります。軟らかい内容の記事が多く、今も上海市民に人気のある新聞ですが、8月22日に掲載されていたコラムに目が留まりました。見出しは「上海語を話そう」。今回は、このコラムを紹介しながら話を進めたいと思います。

コラムは、上海市内で開かれたブックフェアでの出来事から書き起こされています。地元上海の人気コメディアンが本を出版し、サイン会に長蛇の列ができました。コメディアンは感激のあまり、「みんな、上海語を学び、どんどん喋ろうよ」と呼びかけたといいます。

このコメディアンは普段から上海語を操るご当地芸人なのですが、そもそも上海地方の方言である「上海語」は、中国の標準語とかなり違います。

単語3つを例に、発音の違いを比べてみましょう。

「上海」:標準語で「シャンハイ」、上海語では「サンへ」

「こんにちは」:標準語で「ニイハオ」、上海語では「ノンホ」

「日本人」:標準語で「リーベンレン」、上海語では「サンパンニン」

発音は、口の使い方に特徴があります。標準語に比べて四声(日本人には難しい発音の抑揚)があまりはっきりせず、抑揚が少ないのです。また、標準語は喉や舌など口の奥の使い方が難しいのですが、上海語は口の前の方で発音するため、日本語を喋るのに近いかもしれません。

このような特徴を持つため、中国のほかのエリアの人には上海語は理解できません。それゆえ、上海語を操ることには中国最大の経済都市・上海ならではの自尊心がこもっています。例えば、上海っ子が街の食堂に行った際、初めて見かけた従業員に上海語で話しかけ、相手が理解できないと「出稼ぎに来たのか?どこの田舎だ?」というように、相手を見下す道具として使われる側面もあります。