新型コロナの感染を避けるために「納体袋」で遺体を包むことを推奨してきた国のガイドラインが変わり、「袋」は不要になり、手洗いや消毒をすれば遺体に触れることも許容された。この3年間、“お別れ”もできないまま見送ってきた遺族からの要望が、基準の見直しにつながったのだ。ようやくできるようになった“普通の葬儀”。一方で、一部の火葬場は依然として「袋」を要求しており、住む場所によって対応がちぐはぐになっている。
◆“老衰”でも「顔は見られません」

福岡県筑紫野市に住む篠倉邦男さん(80)は、去年8月に妻の久枝さん(当時85)を亡くた。

死亡診断書の「直接死因」は「老衰」だったが経過に影響を及ぼしたとして新型コロナの感染が記入されていた。

篠倉さん「死亡診断書を見てコロナにかかってますねと、今日中に火葬しなければなりませんと遺体を預かってくれるところがないので病院に預かってもらいますと。最後の別れをさせてもらえないかと思ったらビニールの袋に入ってますから顔は見られませんと言うわけですよ」
火葬の前に顔を見たいと伝えたものの「最後の別れ」はかなわなかった。
篠倉さん「悔しいですね50年以上も連れ添った家内でしょ、ほんとはねコロナに感染してなかったら顔をなでてあげたいですよ」
◆これまでの対応を“緩和”「納体袋」は不要に

国内で新型コロナが流行し始めてから3年。篠倉さんのように多くの遺族が望むような“お別れ”ができないまま、故人を見送ってきた。国が定めたガイドラインが、「納体袋」で遺体を包むことを推奨してきたからだ。それが大きな転機を迎えた―。
加藤厚労大臣「遺族からの希望もありました。感染リスクが低いことが分かったので見直します」
厚生労働省は今月6日、遺体から感染するリスクが低いことなどが確認されたとしてこれまでの対応を“緩和”する新しいガイドラインを公表した。適切な感染対策をしていれば、遺体を「納体袋」に包む必要はなく、触れたあとに適切に消毒や手洗いをする前提で遺体に触ることも許容した。







