あまりに明るい。20歳から29年間も獄中に暮らした、元無期懲役囚の桜井昌司さん(75歳)は無実だった―。桜井さんを追ったドキュメンタリー映画『オレの記念日』が公開された。「刑務所は楽しかった」と言い切る桜井さん。無罪判決を勝ち取り、国家賠償請求訴訟でも、国と県に完勝した。今は「えん罪」が疑われるほかの事件の支援に駆け回っている。RKB報道局の神戸金史解説委員が桜井さんに話を聞き、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で紹介した。



◆1967年に起きた強盗殺人事件「布川事件」

おすすめの映画を紹介します。1月6日から福岡市のKBCシネマで始まったドキュメンタリー映画『オレの記念日』です。描かれているテーマは「えん罪」、そう聞くとドヨーンとする話を想像するでしょうけど、主人公の桜井昌司(しょうじ)さんがとても魅力的で、見ていたら本当に楽しくなってきちゃうんです。

桜井さんは、1967年に茨城県利根町で起きた強盗殺人事件「布川事件」の犯人とされてほかの男性1人とともに逮捕され、無期懲役判決を受けました。当時20歳、29年間を獄中で暮らしました。仮釈放されたのは49歳のとき。大変な人生を歩んだ人です。なのに、非常に明るい、前向きな方でした。1月8日に監督の金聖雄(キム・ソンウン)さんと対談をする機会があり、聞きに行きました。

出所後、桜井さんは52歳で結婚。再審請求が認められ、58歳で再審が始まって、2011年、64歳のときに無罪判決がました。その後に国家賠償訴訟を起こして、2021年に国が完敗しました。桜井さんは74歳になっていました。日本国民救援会や弁護士さん、いろいろな方々の支援を受けながら再審を求めてきたんです。ここまで完勝したえん罪事件は滅多にありません。桜井さんは、金監督とこんな話をしていました。