目的は事故抑止か、件数稼ぎか?「ノルマ」の弊害

 では、そもそも交通違反取り締まりは何のために行われるのか? 楠長官は「交通事故抑止に資する」=つまり、悲惨な交通事故を防ぐ目的だと述べていますが、現実は「取り締まること自体」が目的化していなかったか、もっと有り体に言うと、件数を稼ぐことが目的化していなかったか。この点でも、今回の事案は問題を浮かび上がらせました。「ノルマ」の問題です。

実際にはノルマではないようですが、神奈川県警は不正が発覚した2024年まで、1年間の取り締まり件数について、過去の実績などをもとに「水準」を定めて、各警察署や交通機動隊に通知していました。これは全国的に神奈川だけのようですが、「誤解を招く」つまりノルマと受け取られかねないとして、去年から廃止しました。

結果として、神奈川県警の、去年の交通違反検挙件数は前年から10万件以上減っていますから、それまでは無理があったと見られても仕方ないでしょう。

どうかと思う一例を挙げると、神奈川県内に住む知人は4年前、横断歩道で一時停止しなかったとして、歩行者妨害で違反切符を切られました。ただ、知人は歩行者に気付いていったんは停車したんです。ところがその人は「行って、行って」と手で合図し、「いえ、どうぞ」と声もかけましたが、さらに「行って」と合図するので発車したら、警察官が出てきて、一部始終を見ていただろうに反則切符を切ったそうです。ちょっと、それはないと思いませんか?

また、これは私が以前よく目撃した、東京都内の幹線道路に架かる片道3車線の橋のケースです。橋の上は車線変更禁止ですが、渡った先の交差点で、一番左側は左折レーンになっています。橋は中央部が少し高いので見通しが悪く、知らずに左車線を走っていた直進車が車線変更すると、待ち構えた警察官が次から次に切符を切っていました。

また、うちの近所で朝夕だけ一方通行になる坂道も同様で、規制に気づかず坂を上ると、はいピピッです。確かにどちらも、標識を見落とすほうが悪いんですよ。それは分かっています。でも事故防止を言うなら、橋や坂道の手前で注意してくれるほうが「事故防止に資する」んじゃないか、と思ってしまいます。まぁ一罰百戒なのかもしれませんが…。まぁ、ドライバーの愚痴に聞こえたらごめんなさい。