「ここで夫は夢と希望を持って青春時代を過ごしたんだな」

北九州市立大学を訪れた「過労死」遺族の安徳晴美さん

特別授業の冒頭、安徳さんは押し入れの奥から出てきた北九州大学のアルバムについて触れた。

1986年卒業。
夫の誠治さんとは卒業後に出会ったため、彼がここで過ごした学生生活を知らない。

しかし、このキャンパスで学んだ縁が、今こうして自分を大学での特別授業に導いたことに、安徳さんは深い感慨を抱いていた。

安徳晴美さん
「皆さんの先輩である先輩が、残念ながら命を落としてしまう。働いて、幸せになるために働いて、家族を幸せにするために働いた結果、命を落としてしまう。この話を聞いていただいて、それぞれがどうこの先、労働者になった時に働いていったらいいんだろうかっていうことを考えていただいたら」

夫は北九州の八幡生まれ。
心の優しい、笑顔の美しい人だったと安徳さんは語る。

市内の小中学校を卒業後、北九州市立大学の米英科で学び、福岡県の高校英語教師採用試験に合格。
県立高校の教師として教壇に立った。

学生時代にはバックパッカーとしてグレイハウンドバスに乗り、アメリカ大陸を横断した経験も持つ。

安徳晴美さん
「自由旅が好き。異文化に触れ、平和と愛、そういうものに対してすごく、こういうものが人の心には大切なんだよっていうのを元気な時にたくさん私に語ってくれました」

教員になってからは、シンガポールの学校との衛星授業や文化交流プログラムに応募し、オーストラリアの高校で日本文化を教える海外赴任も経験した。

そんな心根が大好きで、安徳さんは彼と結婚を決めた。