国内では2024年、中国軍機とロシア軍機の領空侵犯が相次いで確認されています。空の安全保障に改めて関心が高まるなか、西日本の空を守る航空自衛隊築城基地では緊急時に備えた厳しい訓練が日々行われています。

「確認作業を怠ると、大きな事故に」

轟音とともに滑走路から飛び立つ、Fー2戦闘機。航空自衛隊築城基地(福岡県築上町)には2006年に導入され、西日本の空を守っています。

訓練「あなたは日本領空を侵犯している」

荻田祥3等空尉(26歳)は、F―2戦闘機のパイロットの1人です。
2023年10月に配属され、初めて戦闘機の実戦部隊の一員となった荻田さん。
この日は午前8時半に基地に入りました。

荻田祥3等空尉
「このあとフライトがあるので、準備をしています。(確認作業を怠ると)大きな失敗や最悪の場合事故に至ってしまうこともあるので、一つ一つ確認を確実にやるのが重要だと教わってきました」

無線通信のトラブルを想定して

敬礼「おはようございます」

朝礼で気象情報などを確認した後、一緒に訓練を行うメンバーでミーティングをします。

井上道1等空尉「もし1番機が通信不良になった場合だけど…」

模型を使って訓練の説明をしているのは、先輩隊員の井上道1等空尉(35歳)です。今回は領空に接近した国籍不明の飛行機に警告し、その最中に通信トラブルが発生することを想定します。

井上道1等空尉
「2機で対象機に接近して、最初は(私が乗る)1番機が対象機に『領空に近づいている、離れなさい』と指示していく。その過程の中で、何かしらのトラブルで1番機が通信が取れなくなったところ、(荻田3等空尉が乗る)2番機が認知したので場所を交代して、2番機がその役目を引き継いで対象機に対する対領空侵犯措置を継続する」