4月から始まった「医師の働き方改革」。患者の命と向き合いながら、自身の働き方をどう変えていけばいいのか。救急医療の現場で苦悩する若手医師の一日に密着しました。

救急現場で働く5年目の若手医師が早出した理由は…

地域医療の中核を担う福岡市中央区の「済生会福岡総合病院」。救急車を24間体制で受け入れ、主に重症患者の治療を行っています。

救命救急センターで患者の処置にあたる山本駿医師。医学部を卒業して5年目の若手医師です。心臓と血管の病気を専門とする循環器内科の病棟を担当していますが、毎日のように救急科の応援要請に対応しています。この日の山本医師の出勤は、就業開始時間40分前の「午前7時50分」でした。

記者「昨日も遅かった?」

山本駿医師「早く帰れたが、自分の仕事を遅くまでやっていました。午後10時くらいです。」

早出して臨んだのは循環器内科の先輩医師との勉強会。これは労働時間にあたらない「自己研鑽」で自らの意思で参加しています。勉強会が終わるとすぐにICU=集中治療室に入院している患者たちの元へ向かいます。

山本駿医師「この救命センターに入院している人は毎日、毎日(状態が)変わるので、朝と夕でずっと診ていないといけない」

回診の合間に、循環器内科の外来の医師から電気ショック治療の要請が入ります。そして、休む暇もなく救急科から応援要請。急いで救急の処置室に向かいます。一息つくことができたのは、正午を過ぎてからでした。

午後になっても救患への対応や患者の家族への説明など、ほとんどの時間を救急の治療室で過ごしました。