きょうだい児が「ヤングケアラー」になることも
「福岡きょうだい会」の代表・太田信介さん(48)によると、小川さんのように障がいのあるきょうだいを持った事で家族の関係が崩れるケースは少なくないという。
障がい者のきょうだい児が抱える苦悩はヤングケアラーにも通じるという見方を示すのが、児童虐待やヤングケアラーの問題に詳しい元西南学院大学教授の安部計彦さんだ。
ヤングケアラーは、「18歳以下で大人がするようなケアを日常的に担っている子供や若者」と定義とされる。
元西南学院大学教授安部計彦さん「我慢を強いられている、という点で、小川洋子さんのケースもヤングケアラーだったと考えていいと思います。直接介護をしていない場合でも、ただ見守るだけということも、その時間を自分のためではなく障がいを持つきょうだいに合わせて対応している訳ですから」
安部さんは、障がい児のきょうだいを含むヤングケアラーの問題の難しさは、家族だけで抱え込もうとする心理にあると指摘する。
元西南学院大学教授安部計彦さん「ヤングケアラーは、悩みを友人に打ち明けることで『かわいそうな特別な子』と見られたくない、皆と同じでいたい、という心理が働きます。虐待を受けている子もそうですが、決して誇れる話ではないためです。そうやって周囲に隠すことで『助けて』と言えなくなります」
洋子さんも、弟の障がいについて周囲に話したことはほとんどなかった。そのため「親亡き後」の課題に直面し、きょうだい会に繋がるまでたったひとりで思い悩んだ。
また安部さんは、きょうだい児がヤングケアラーになりやすい要因として、子ども自身が自覚していない事にあると指摘する。
元西南学院大学教授安部計彦さん「親に言われてすることが当たり前であり、出来るだけそのことを隠したい。だから例え他人から気づかれても『大丈夫です』と言ってしまいます。」