アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズが世界の旅行先で「2024年に行くべき52か所」に山口市を選んだのです。ニューヨーク・タイムズは毎年、世界各地の旅行先の中からおすすめの場所を独自に発表しています。

2024年は、北米各地で見られる皆既日食。夏にオリンピックがあるフランス・パリに続いて山口市が3番目に紹介されています。

記事では、山口市を「西の京都とも呼ばれるが、観光客で混雑はしていない」としたうえで、「街の曲がりくねった小道ではさまざまな体験ができる」と市内の楽しみ方を紹介しています。見どころとして国宝・瑠璃光寺五重塔や、約600年の歴史がある山口祇園祭などを挙げています。突然の発表に、喜びの声が上がりました。

山口県 村岡嗣政 知事
「本当びっくりしましたし、とてもうれしく思いますけども、山口の魅力にようやく世界が気づき始めたなという風に感じてるんですけどね」

山口市の伊藤和貴市長は「大変うれしく思っている。国内外から多くの人に来てもらえるよう、おもてなし環境の整備に努める」とコメントしました。

見どころにあげられた瑠璃光寺の渡邉博志住職は。

曹洞宗保寧山瑠璃光寺 渡邉博志 住職
「(能登半島地震など)暗いニュースで、多くの方のお見舞いとお悔やみを申し上げる中でも、明るいニュースが入りましたので、それは光栄であり、喜ばしいことだと思っております」

観光業の関係者は、インバウンドの増加に期待します。

湯田温泉旅館協同組合 吉本康治 事務局長
「非常にありがたいと思っています。われわれもインバウンドというものを本当にこれから本腰で取り組んでいかなきゃいかないので、さらなるサービスをどうしていくかっていうのを考えていこうと思っています」

2023年は、岩手県盛岡市が2番目に選ばれ、海外などから多くの観光客が訪れました。

山口県観光連盟 上田英夫 専務理事
「山口市に来られた方はご存じだと思いますけど、パリに次ぐような街じゃないので、かなり気が動転したというかうれしかったですね」

世界が「山口」に気づいたら、どんな効果が期待できるのでしょうか?

上田専務理事
「広島はG7があった関係で、この前も行きましたけどかなり欧米の方をお見かけして、(福岡と)間に挟まれているわれわれとしては恩恵をこうむっていなかったんですが、まあたぶん素通りをしているんじゃないかなと、新幹線で」

上田専務理事は、関西方面などから広島を日帰りで訪れている外国人観光客の「宿泊」に期待しているといいます。

上田専務理事
「広島から今問題になっている、日帰りで今度は大阪に帰られるお客様も、ちょっと足をのばしてっていうことになれば、お互い広島も山口も宿泊が増えるっていうことに…」

宮島を訪れている人たちに、このあとさらに足をのばす予定はあるか聞いてみました。

観光客たち
「このあとは福岡の方へ入ります。山口は通り越しちゃいます」
「夕方また松山に戻って飛行機で帰ります。そっか山口県か…旅行にいこうってあひらめきにならないね。見どころっていうか、これというものが想像できない」

商店街の人
「できれば手を組みたいですよね。いいところがいっぱいあるじゃないですか。山口っていえば近隣なので、手をとりあってツアーを組んでもらえれば、お客様も二度おいしいんじゃないかと思うんですけど」

広島県観光連盟も、「有名観光地だけじゃない、そのほかの地域にも注目してもらうきっかけになると思うので、広島でも期待している」と話しています。

観光庁によりますと、23年1月から9月までに広島県と山口県に宿泊した外国人観光客の数は、広島は88万8000人、山口県は5万8000人でした。

宿泊している外国人を国別に見ると特徴があります。広島を含む中国地方は、突出して欧米の人が多く、一方、福岡を含む九州地方は、圧倒的に韓国や中国など東アジアの人が多くなっています。

広島に来た欧米の人が、関西などに帰らず広島や山口に1泊して流れができるのか。また、九州に来ている東アジアの人が山口や広島でも1泊してみようかな…となるのか。いずれにしても、「世界が注目する山口」がどんな効果をもたらすのか2024年は注目です。