平和公園でかつて、この場所にあった街の慰霊祭が行われました。

「この世界の片隅に」ですずさんも歩いていた旧中島地区…。今は平和公園になっているこの場所は、かつて住宅や料亭・映画館が並ぶ広島一の繁華街でした。

旧中島地区出身 中村恭子さん(90)
「亡くなった方に安らかに眠っていただきたい。公園になり、なにもなく、ここに本当に人が住んでいたのかとみなさん、思われると思うんですが、ここにはたくさんの歴史がありますので」

原爆で失われた街―。その街の記憶を、最新技術を使って次世代に伝えようとする女性がいます。
広島出身で東京大学4年生の 庭田杏珠 さんです。

庭田さんは、高校生のころから戦前の広島の日常を写した白黒写真をAI技術を使ってカラー化し、当時の記憶を引き出す「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでいます。


庭田杏珠 さん
「個人の記憶というものに触れたときに『自分事』になってくる。五感を通して内側から感じることで自分事になってくる」

プロジェクトに取り組んでことしで6年。これまでに300枚以上の写真をカラー化してきました。

庭田杏珠 さん
「家族の日常の1コマ、これもわたしたちがふつうにお花見するじゃないですか、それと重ね合わせることができたり」
色のついた写真は、人々の日常…、豊かな営みが確かにそこに存在していたことを伝えます。

庭田さんが記憶の解凍に取り組む大きなきっかけとなったのが、中島本町の住民だった 浜井徳三 さんとの出会いです。