覚醒剤・詐欺に強制性交等… それぞれの罪と資格取得の勉強に向き合う受刑者たち

関東地方で暴力団の構成員をしていたA受刑者。縁を切りたいと思って離れた場所に行ったといいますが…。

A受刑者(30代) 暴力団の元構成員
「親も年なので、自分も真面目にならなくちゃなと思っていました。自分は6年間いたけど、その間の3年くらいは、暴力団をやめるとは一切言わずに、ばっくれていて、全然違うところに行っていた。だけど、たまたま6年目に見つかって連れ戻されました。戻されたときに、暴力を振るわれたり、いろいろ言われたので、これはもう、やっていられないなと思いました」

A受刑者は2023年7月、「職業訓練コース」に籍を置いています。全国の刑務所などには受刑者の出所後の就労を支援するために、技術を学ぶコースがあります。国の調査によりますと、出所後に再び刑事施設に戻った受刑者のうち、再犯をしたときに無職だった割合は約7割。受刑者が出所後に仕事を持てることが、大きな課題になっています。

そこで23年3月、広島刑務所で始まったのが、1年間、服役しながら複数の資格取得を目指せる職業訓練です。従来のショベルカーやフォークリフトの免許取得に加えて、消防設備士や電気工事士など4つの国家資格の取得も目指すことができます。県外の施設からも受講を希望する受刑者を募り、30代から50代までの9人が「学び直し」に取り組んでいます。

B受刑者(50) 詐欺罪で懲役2年8か月
「今回、4回目の刑務所生活で、これは言い訳ですけどチャンスがなかったってわけではなくて、やればできたはずなのにしていなかった。ここで努力をして、本当に資格を取れることを目標にして、やらせていただければと思っています」

C受刑者(46) 強制性交等罪で懲役3年6か月
「他人を傷つけるという解決方法には絶対に至ってはいけないと思います。『認知』と教わったが、考え方を変えていきたいと思っています。自分の勉強のために時間を使わせていただいて、しかも、それを公費を使ってさせていただけるという環境には本当にありがたい」

国家資格の授業では、週に1度、専門学校などの外部の講師が指導にあたります。

職業訓練コースの外部講師
「犯罪したことについては、人間の弱い所が出るのだと思います。犯罪をしたのであれば、それなりの罰は受けないといけないのだろうと思います。受刑者たちは、割と積極的なので過去にも犯罪あったのかもしれませんけど、『何をしたのか?』と思うぐらいに、真面目です」

それでも暴力団を抜けるのは簡単ではありません。