
顕著に表れたのが、守備練習のノック。この日、行ったたった15分間のノックでも効率的に数をこなします。
三浦謙二郎 新監督
「3秒に1球打つと、たぶん45分間で1000球程度、打てるんですよね。あの短い間でも1人、7~8本はノックを受けていると思いますので。それは心がけていますね。時間との勝負なので」
自身のポリシーも大事にしつつ、やはり念頭に置いているのは前任の 中村信彦 さんの存在―。去年まで外から市立呉を見ていた三浦監督だからこそ、見て取れたチームの「らしさ」がここにあります。

三浦謙二郎 新監督
「市呉をはたから見て思っていたのは、五厘刈りでしょ。2つめ、返事が大きいのと元気がいい、さわやかに怒られる生徒だなと前から印象を持っていた。プラス、泥臭い。この3つって昔ながらの大切に愛されてきた高校野球そのものだと思う」
昔の伝統を刷新して「新しい時代」を受け入れるのも1つの手段かもしれません。しかし、「昔ながら」を貫く裏には中村監督から三浦監督へ引き継がれた思いがあるからです。

三浦謙二郎 新監督
「高校野球のスタイルがここ数年でちょっと変わり始めているなっていう印象は、いろんなところに配慮されてあるんですけれども、古き良き時代を今現在もやっている学校ではあるなっていう。このスタイルだからこそ応援してくれる人もいらっしゃると思いますし、このスタイルが古いって言われたらそれまでなんですけれども、中村先生が15年間つないでこられた高校野球のスタイルでもあるし、つないでいかなければいけない市立呉のスタイルかなと思いますので、そういった形でつなぐことができればなという思いではあります」
野球部創設以来の転換期を迎えたことし、監督・選手が一丸となり、未来へつなぐ夏が始まります。

「古き良き」も「新しさ」も入り混じる新生・イチクレ野球部。根底にあるのは、どちらも野球を楽しむ心です。

市立呉高校 渡辺慶心 主将
「ワクワク感を持って野球を楽しむことができるのも1つの力だと思うので」
挑む初戦は7月15日。「市呉らしさ」全開で一戦必勝で臨みます。

渡辺慶心 主将
「どこにも負けない元気の良さが市呉にはあると思う。絶対勝つという思いでやってきたいと思う」
― 三浦さんが監督に就任してすぐ、レベルアップのために150万円もする3輪式のピッチングマシンと、周りの安全を確保するゲージの新調を後援会に依頼したそうです。後援会は「チームのためなら」とセンバツ等の貯蓄などを心よく使って設備を準備してくれたと。三浦監督は、「新任のわたしが大金を使うのは心苦しいところはあったが、このようになったのは前任の中村さんの取り組みがあったからこそ。だからこそ、このイチクレを応援してくれる方々のために “古き良き” イチクレを守っていかないといけないし、期待に応えたい」と話していました。