気がつけば、夏はすぐそこに…。となると、ウナギでも食べて精をつけよう。が、しかし…。


市場では
「近年、ないです。初めてです。この値段の価格帯は」
「かなり丑の日は厳しい状態になる」


きょうのテーマは、『ウナギが足りない? 土用の丑の日が… 心配』

足りないと、これもまた、値が高くなると…。ことしの土用の丑の日は7月23日。2か月先ですが、関係者からは心配する声が上がっています。


広島市中央卸売市場です。ウナギを扱っている仲卸を訪ねると、愛知県から入ってきたウナギが手際よく選別されていました。話を聞いてみると…。


広栄水産 谷口龍さん
― 去年と比べると?
「とても少ないです。近年、ないです。こんな価格帯は初めてです」

取引価格が上がっていて、目利きのプロも驚きを隠せない様子でした。


谷口龍さん
「この時期はスーパー用に白焼きを作って冷凍しておくが、ことしはそれが全く作れなくてたいへんです」

ウナギに何が起きているのでしょうか? 別の仲卸業者はこう説明しました。


チウスイ 沖田孝志さん
「現状、シラスウナギが去年の半分ぐらいしか捕れていなくて。集荷がとてもたいへんです」


土用の丑の日には多くのウナギが流通します。その多くは11月末から1月に捕獲したウナギの稚魚シラスウナギを半年間、養殖したものです。養殖期間が1年かからないため、「単年養殖」と呼ばれています。この単年養殖に使うシラスウナギが不漁でした。結果的に養殖する量が減ったわけです。


水産庁のデータによりますと、シラスウナギの養殖池への投入量はことしの4月末時点で15.8トン。同じ時期で比べると去年より2.3トン、おととしより4.3トン少なくなっています。


沖田孝志さん
「年々、漁獲量が減っている。気候の変動なども影響がある」


シラスウナギが減った理由について水産庁はよくわからないと話します。ことしに限った特別な理由があるわけではないようで、海の環境が変化していることや、これまでの過剰な捕獲、生息環境の悪化が指摘されています。


広栄水産 谷口龍さん
「正直、見通しが立たない。努力はしているが、ものがそろうかどうか」

チウスイ 沖田孝志さん
「単価もですが、とりあえず集荷できないことには、どうにもならない。土用の丑の日はかなり厳しい状態になる。輸入物なども併用しながらやっていくしかない」


こうした中、スーパーでは、あの手この手でウナギの確保に努めています。