
部屋に飾った大きな国旗は、国から持ってきました。
日本で買ったものもあります。キーウの家族や友人にクリスマスプレゼントを送ろうと、2人で本通りに買い物に行ったといいます。

姉 ファジリャさん
「これ、1番お気に入りのセーターです。ドーベルマンの写真もたくさん持っていて…」

大好きな犬のセーターを見つけて、自分用にも買いました。
この時期、キーウの中心部はイルミネーションで彩られます。

ことしは、ロシアの攻撃による電力不足のため、国旗と同じ色のクリスマスツリーが発電機を使って点灯されました。

キーウにいる2人の母から取材中、電話がかかってきました。

姉 ファジリャ・ボロジナさん(20)
― お母さんは何と?
「今は電気が通っている友人の家に行っているところだそうです」

ロシアによる攻撃で電力が不足しているため、計画停電が続いています。
妹 マリアさん(18)
― お母さんには?
「どこにいるのか聞きます」
姉 ファジリャさん
「シェルターか家か…」
妹 マリアさん
「そして、どんな気分か。わたしたちに心配をかけまいと、いつも母は落ち着いているように振る舞っています」

ことし2月、ロシアによる爆撃が始まるまでは、家族でいつもどおりの生活をしていました。

姉 ファジリャさん
「晩ごはんを食べて、あすの食事と仕事の準備をして、家族で寝ました。翌日、わたしたちが起きたら、母が『戦争よ』と言いました。この時代に戦争なんてありえないと思った。本当の戦争? そんなはずないと」

どうしたらいいか、わからないまま、ひとまずシェルターに行って、ただ座っていたといいます。その数日後、自宅近くでも爆撃が始まりました。ロシアは核をちらつかせる発言を続けています。
姉 ファジリャさん
「みんな、核兵器がどんなものか理解していると思います。なぜ、みんな、それを止められないのか、理解できません。わたしの考えは子どもみたいなのだろうけど、本当に理解できない。どうして、たった1人の人(プーチン大統領)が、世界を操ることができるのか」

SNSで現地の情報を仕入れ、ふるさとに残る家族や友人と連絡を取り続けることが、2人にとって今、一番大事なことです。

同時に日本で生活をするために日本語の勉強もがんばっています。

姉 ファジリャさん
― 何か日本語は覚えましたか?
「キャベツ」

― キャベツ!?
「仕事で使うので…」
妹 マリアさん
「モヤシ・ネギ…」
姉 ファジリャさん
「おいしい」

2人は、先月からオタフクホールディングスで正社員として仕事をしています。毎朝8時ごろ、出社します。