離島が孤立した事態を想定して、ドローンが海上を飛行して物資を運ぶ訓練が広島県内では初めて行われました。

広島湾に浮かぶ似島は橋が架かっておらず、本土との交通手段はフェリーだけです。航路は似島に住む650人のライフラインとして機能しています。その航路が、南海トラフ地震で震度6弱の揺れに襲われ港湾が損傷し、一時的に断たれた想定でドローンを使って医薬品や血液を運ぶ訓練が2日行われました。

背景には、去年の能登半島地震がありました。石川県輪島市の舳倉島(へぐらじま)では、地震で海底が隆起。およそ2週間にわたって孤立し、航路の再開にも1年以上かかりました。

訓練ではまず、本土側から似島に向かって、注射や傷口の洗浄などに用いられる“生理食塩水”を模した、重さ約14kgの水を運びます。広島市南区の出島地区(本土側)から似島まで、4.4kmの距離を時速約50km、10分ほどで飛行します。操縦は県が委託した民間企業が、本土側でモニターをみながら遠隔で行います。

ドローンは衝撃なくゆっくりと似島に到着し、箱の中から水が運び出されました。一方、似島側からも、実際の血液検体を入れた箱をドローンにくくりつけて本土側まで運びます。本土側に送った血液検体は実際に検査にかけられ、フェリーを使った輸送と差異が出ないか検証されます。

県内ではこれまで、ドローンを活用した物資の輸送訓練は中山間地域で5回おこなわれてきましたが、海上での輸送は今回が初めてだということです。

広島県 危機管理課 立田正雄参事
「孤立集落対策は物資輸送が非常に重要で、ドローンも有効な手段のひとつだと考えている。もし今後こういう災害が起きた際には、ドローンも選択肢のひとつとして考えていきたい」

県は、今後も各市町や民間企業と連携して訓練を続けたいとしています。