トンネルの名称は、「鞆未来トンネル」。鞆の浦学園の児童や生徒が出した案の中から選ばれました。

9年生で学園会長を務める古山朝子さん(15)も中心部の道を利用する1人です。

鞆の浦学園 9年生 学園会長 古山朝子さん
「わたしたちが登校する時間とかぶったりするので、通学の時は少し危ないかなと思っていました」

架橋計画について詳しくは知らなかったという古山さん。今後、生まれ育った町に活気が生まれることを期待しています。

古山朝子さん
「運転されている方も不安はなく、運転できるようになるから、鞆の町が活性化するからすごくいいことかなと。今の古き良き町並みや昔ながらの建物が残っているのは、なかなか日本でもないことなので、しっかりと残していきたいなと思います」

移住者から見える「街の姿」もあります。兵庫県出身で32歳の鳥井践さんです。

東京での仕事を辞め、分散型宿泊施設「NIPPONIA 鞆港町」で働くことをきっかけに移住しました。

鞆に移住 鳥井践さん
「自分らしい生き方というか、暮らしができているかなと思いますね」

一緒に移住した妻の千晴さんは、愛知県出身です。縁もゆかりもない街に住んで2年、10月には愛娘の心琴(ここと)ちゃんが誕生し、子育ても始まりました。

鞆町に移住 鳥井千晴さん
「人がおもしろいのと人づきあいが本当に楽しい街だなと思っていて、子どもやお年寄りに対しても、みんなで見守るような街、それを来てくれた方にも感じてもらいたい」

鳥井さんは、古い空き家を購入し、自らの手でリノベーションした家に住んでいます。その縁もあって、ことしの夏からは移住希望者と空き家をマッチングする取り組みも始めています。

鞆町に移住 鳥井践さん
「先の10年・20年経ったときにもっと人口が減っていく問題が起きるわけですね。外から来たいという人がいても、すぐに住める場所が今、鞆にはないので、空き家の利活用を今後、進めていきたいなと思っていますね」

道路整備をめぐる問題は、移住から間もなくして知ったそうです。

鳥井践さん
「それぞれの立場や意見があるのは当然だと思うので、山側に通るということが決まったのであれば、今後、トンネルが通ることによって、街をどうやって良い方に持っていけるかというのを住民みんなで考えてやっていくことが必要だと思いますね」

住民でありながら観光客をもてなす立場の鳥井さんは、外から来たからこそ感じる「鞆の魅力」を口にします。

鞆に移住 鳥井践さん
「全部、便利にしちゃうと鞆の魅力がなくなっちゃう。だから不便を残しつつも、鞆の生活が魅力だと思うので、生活が垣間見えるような観光、現地の人も観光客の人も win-win なシステムを作っていければなとは思っています」